カジノに頼らない、横浜独自のIR戦略に期待!山本たかしの政務調査ニュース

◆IR導入の準備状況
平成27年3月、横浜市が『IR(統合型リゾート) 等新たな戦略的都市づくり』の検討調査報告書を公表しました。この調査研究は、横浜経済が「踊り場」にあることをふまえ、IR導入によって得られる効果(経済波及効果、税収効果、雇用創出効果)が将来の横浜の社会保障や都市インフラに活かすことができるかを検証するものです。
IR(Integrated Resort)という用語は、2000年代にシンガポールでカジノ導入が検討される過程で使用され、世界的に普及しました。『IRとは、カジノ施設及び会議場施設、レクレーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設の総称』で、今や、世界112カ国でIR(カジノ)が導入されています。
◆IRによって期待される効果
マリーナ・ベイ・サンズ(シンガポール)の施設例をみると、15haの敷地内に、会議場・展示場12 万㎡、劇場2か所(約4000人収容)、屋上空中庭園、プール(約1万㎡)、美術科学博物館、ホテル(約2600室)、ショッピングモール、飲食店、カジノがあります。カジノ施設は全体面積の2.6%ですが、売上は年間2500億円にのぼり、IR 全体売上の80%を占めます。直接雇用約9000人を含め雇用創出効果は40000人、税収効果約250億円となっています。
IRは、財政難に悩む地方公共団体にとって、観光振興、地域振興、雇用、税収面での大きな効果を生む可能性があります。
「都心臨海部の再編・機能強化」と「国際的な観光・MICE 都市の拡充」を成長目標とする横浜市で、IRを導入した場合の経済効果は、約4100億円、雇用創出約4万人、税収増61億円と本報告書で試算されています。
◆IRがなければ、横浜の成長は不可能か?
誰もが安心して働き暮らすことができる横浜をつくるためにも、ハード、ソフトのインフラをつくる財源確保が最大の課題です。だからといって、IRがなければ横浜の成長は本当に不可能でしょうか。
◆横浜のメンタリティ
横浜は、1859年(安政6年)開港以来、諸外国との交易の中心地として近代日本を牽引してきました。また、高度経済成長期には、人口急増による様々な都市問題に直面しましたが、「6大事業」を推進することで、こうした問題を見事に解決してきました。 その1つ、「都心部強化事業」では、港湾機能の質的転換を図り、当時分断されていた関内・関外地区と横浜駅周辺地区の2地区を一体化するため、みなとみらい21地区開発に着手し、新しい横浜都心を形成してきました。 これからも横浜は都市の活力と賑わいを創出する国際MICE 都市として、APEC(※1)やTICAD(※2)ADB(※3)等の国際会議や東京オリンピック・パラリンピックの開催等を通じて、さらに発展する可能性があります。
こうした横浜発展の歴史を築き支えてきたのは、『横浜のメンタリティ』です。「人」と「企業」が輝く都市、横浜の魅力の原点です。
- ※1:APEC
- Asia-Pacifi c Economic Cooperationアジア太平洋経済協力
- ※2:TICAD
- Tokyo International Conference on African Developmentアフリカ開発会議
- ※3:ADB
- Asian Development Bank アジア開発銀行
◆日本の成長エンジン=「観光戦略」
現在、我が国を訪れる外国人観光客は2000万人を超えています。GDP(名目国内総生産)600兆円をめざす政府は、「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」で、「観光」を成長戦略と決定し、2020年に4000万人、2030年に6000万人の外国人観光客を誘致するという目標を定めました。
◆外国人観光客の訪日観光目的とは?
「観光庁の訪日外国人消費動向調査」では、訪日外国時観光客の目的は、アジアと欧米とで大きな違いがあります。アジア(台湾、韓国、中国)からの観光客は、日本食、ショッピング、自然・景勝地観光、繁華街の街歩きなどに関心が高く、日本現代文化体験(ファッションやアニメ)、日本の歴史伝統文化、美術館・博物館などには関心が低くなっています。一方、欧米からの観光客は、日本の歴史伝統文化体験、日本の現代文化体験、舞台鑑賞(歌舞伎・演劇・音楽)、美術館・博物館など通じた、「日本(人)のメンタリティ」に関心が高く、ショッピング等にはあまり興味を示しません。自然と一体化した建物の様式美や仏教文化に通じる禅や華道、茶道などにも大きな関心を寄せていることがわかります。横浜市の観光戦略の一環として、大型外国クルーズ船誘致をめざしていますが、「欧米」からの観光客ニーズに応える観光資源の開発が急務であり、それはカジノではありません。
◆IR事業への投資の懸念
IR推進法案およびIR実施法案に関する基本的な考え方に共通する重要ポイントとして、独立性を有する新たな監視・監督機関の創設やIR設置区域の指定(当面2~3ヶ所)があります。国からIR区域と指定された地方公共団体は、「自らの費用とリスクでIRを整備する民間事業」を公募により選定」します。
マリーナ・ベイ・サンズの場合では、約5800億円の投資を3年程度のカジノ売上(2500億円)で回収しましたが、この回収スキームも、IR利用客があればこその試算であり、IR事業者は、投資に対する回収が見込まれない場合、撤退も含めシビアな事業判断を行うでしょう。世界のIRとの競争であり、アジアや欧米のIR動向を見極めたポジショニングが重要です。IRは短期的な利益を生みますが、長期にわたる事業継続にはリスクが伴います。地方公共団体がIR事業から得られる収益や負担する資金リスクがどの程度か、将来にわたり安定した収益を横浜市が確保し続けることが可能なのか、その見通しがなければ、安全・安心の横浜市政運営の継続は不可能となります。
=子供たちの安全を守ることの大切さ=
我が国には超高齢社会の社会保障、外交・防衛、経済、環境・エネルギーなどさまざまなリスクがあります。その1つに「教育」があります。近年、いじめ問題が深刻化していますが、教育制度の改革だけでなく、教育そのものの根本的な問題解決が求められているといえます。そこで注目するのが『道徳教育』です。今年から横浜市でも道徳教育が試行されていますが、道徳教育は「人間教育」であり、国際社会の中で、日本の未来を築く子供たちが正しい識見と人格を磨くため、学校、家庭、地域が連携し、子供たちの安全を守ることが必要です。20歳~74歳の約320万人(人口構成比3.6%)がパチンコや競馬などのギャンブル依存症が疑われる状態に陥ったことがあると、先ごろ厚生労働省が発表した調査で分かりました。この割合は海外諸国との比較においても大変高い数字となっています。
IRはギャンブル依存症や青少年への影響、暴力団関与などのさまざまな社会リスクを伴います。こうしたリスクへの対応もさることながら、道徳国家「日本」においては国家、国民の倫理力で、独自のIR戦略を創ることを目指すべきです。子供たちの未来を守るためにも、『カジノ』に頼らない横浜独自のIR戦略に期待します。
放課後児童クラブへの補助増で、保護者負担の軽減を!

先日、磯子区の放課後児童クラブ(上中里、屏風ヶ浦、杉田、新杉田)の保護者の方々と意見交換をしました。平成27年度からはじまった「放課後児童健全育成事業」(平成31年度まで)には、『放課後キッズクラブ(キッズ)』と『放課後児童クラブ(学童)』があります。どちらも子供たちの放課後の居場所を提供する事業です。
しかし、『補助内容に大きな差』があります。たとえば、年間予算を比較しても、キッズは41億円、. 学童は.26億円といった具合です。スタッフへの人件費負担もキッズは全額市負担、学童は半分は保護者負担です。
少子高齢化、人口減少社会の我が国が安心の社会保障をつくるためには日本経済の成長、すなわちGDPの伸びが不可欠です。
そのため働き方改革で、女性の雇用、子育て環境改善に取り組みます。小学校に通う子どもたちが安心して放課後を過ごすことができる居場所を確保することが必要です。キッズと学童の環境改善を行うことで「放課後児童健全育事業」の充実に取り組んでいきます。
放課後児童クラブ(学童)の要望項目
- 放課後児童クラブの保護者負担の軽減(放課後児童クラブ17000円:放課後キッズクラブ5000円)
- ひとり親世帯、多子世帯への利用料減免
- 施設家賃補助の上限を30万円に増額
- 指導員の人件費の全額市負担(キッズクラブは全額、市負担)
- 自前施設の改修積立金補助の新設
- 耐震診断・耐震化工事への費用助成の増額
- 提出書類の簡素化・簡便化
キッズと学童の格差解消を望む
子どもの安心の居場所づくりのために国が示す面積基準(1.65㎡/ 人)や耐震基準は必要と認識します。しかし、横浜市のような都市部では高額な家賃を払わなければなりません。横浜市も国への要望の中で、「対象物件の少なさや高額な賃借料負担など、都市部特有の課題を抱える横浜市において、『賃借料補助』がクラブ運営面での大きな課題である。」と認識しています。
国への要望は重要であり、引き続きの取り組みを要望すると共に、放課後キッズクラブと放課後児童クラブの格差解消を横浜市として真剣に考え対応すべきです。
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